まさかあなたに頼るとは

鹿目まどかが暁美ほむらの魔力によって魔法少女となった時、インキュベーターはあたりの調査を終えて戻ってきた。
「わかったよ、時空の裂け目になっている場所の正確な位置が。ここを大きな出力で攻撃すれば、円環の理を封印する場所に穴を開けられそうだね。」
インキュベーターにしてみればここまで予期せぬことが起こった以上、最早素直に成り行きに任せるしかない、と観念したようである。

そうしたQBの心境を見透かしてほむらは言う。
「そう。じゃあ巴さんにそれを伝えて。風穴を開けるのが巴さん、円環の理をまどかの射程圏に追いやるのが佐倉さん。頼んだわよ。」

QBが駆けていくとその後ろ姿に向けてほむらは何かを投じた。
そして、
「鈴はつけておかなくちゃね。」
と独り言をつぶやいた。

ほむらはさやかに向き直った。
目が合うと同時にさやかは語りだす。
「いいのかよ?私があんたを引きずり降ろす事になっても。」

一陣の風が吹き、ほむらの黒髪をはためかせる。
少し笑って彼女は言う。
「意外に、引き上げるのかもしれないわよ。」

風は吹きやまず、それどころかますます強くなっていく。
ほむらは続けた。
「それに、これがまどかのためになるなら、私に迷う理由がどこにあるのかしら?」

それを聞いてさすがにさやかも相好を崩した。
「はっ!あんたはいつもそうだったね。」

ほむらは少し真面目な顔に戻って、再びさやかに語る。
「唯一つわからないのは、私も円環の理もこの世界から消えたら、どんな影響があるのかってことなの。多少の改変があるのかもしれない。今話している私の記憶も完全になくなるだろうし。」
そしてそうした弱気を自身で打ち消すように、
「でも、全てをあなたに任せるわ。」
と強くさやかに言った。

これまで決して交わることのなかった暁美ほむらと美樹さやかであったが、ほむらが最後に全てを託したのは他ならぬ美樹さやかであった。

さやかは、かつて自分が
「全部一人で抱え込むな」とほむらに言ったことがようやく届いた事を識った。
そして、
「おう。任されたよ。」
と応えた。

気に入ったポストとかあれば、リツイートとかブックマークとかよろしくデス。

サブコンテンツ

このページの先頭へ