私の望んだ危機

まどかの腕に傷跡が現れるやいなや、ほむらはすかさず魔力をもってその治療にあたった。
さやかの攻撃はあらかじめまどかにダメージを負わせるかもしれない、ということを考慮したものであったため傷は浅くすぐに腕から消えた。

ほむらは少しだけほっとして上空の敵を見上げた。
この世界の創造主でありながら、その影響は円環の理には届くことがないという事実に暁美ほむらは自らの無力を覚って大きく嘆息した。
そして、このような時でも彼女はいつもそうするように考えるのだ。
「これは、私の望んだ事なの?このどうしようもない危機が。」

まどかへの愛ゆえに盲目であった彼女の心は、いつしか
「自分は何故にこうも、まどかに溺れてしまうのか?」
という疑問に行き着く。
敵はすぐ目の前におり、打つ手がない状況にあってもほむらは自問することを止めない。

やがてほむらは、まどかへの激しい感情の影にある自分のもう一つの心に気がついたのだった。
「世界が憎い。」

魔法少女となる前はどこにでもいる内気な少女であっただけに、あまりにも対象が漠然としたこのような感情が自分の中にある、とほむらは気づいたことがなかった。
しかし、窮地に見舞われる毎にその原因を自分の内に見つけ、状況を打破してきた彼女は遂に自己の深奥に到達したのである。

そう、常に私は世界を憎んでいたのだ。
自分自身を保てなくなるほど、深く。
その反面、永遠に自分のそうした側を見つめないで済むように私は知らず知らずまどかに依存していたのだ。

恵まれた環境にある・ないに関わらずこうした闇の性質を持つのが自分自身であることにほむらはようやく気づいた。
「だからこそ、私は魔なる者となったのだ。」

「ほむらちゃん、ありがと。。ごめんね。」
まどかがほむらの顔を見て言う。
翼を持つ姿を見てもその呼び名で自分の事を呼ぶまどかを見つめ返してほむらが応える。
「いいのよ。やっと、どうするべきか、がわかったわ。」

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