いやあ、大気圏突入回、盛りだくさんでした!カルタちゃんも仮面の男もクローズアップの題材としては申し分ないんですけど、やっぱ三日月って特異なキャラクターとして抜きん出てるよなって事で、やっぱりここは主人公で。

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「地球の重力ってすごいんだな。。」

バルバトスの計器類が悉くあらぬ方向を示すのを見て、三日月は「ここで死ぬのか」と死を覚悟した。
その心は、平静そのものである。

多くの人間が死を恐れるのは、それに伴う痛みに対する恐怖であったり、まだ知らぬことへの恐怖であったりするものであるが、この世のものとは思えぬ激痛を自分は既に三度味わってきたし、どうせこの世はわからないことばかりであったから取り立てて恐れることがあるようにはどうしても思えなかった。

幾数多の人を葬ってきたから、単に「自分の番か」と受け入れかかっただけの事である。

背中の上部にある三つの突起が熱を帯びたように熱い。
三日月自身の心情とは別に、生存の本能が生き残る術を探りはじめる。
いよいよ不穏なノイズを発しはじめたコックピットの中で、彼の意識はやがて幼い日の記憶に辿りついた。

「俺達の本当の居場所に」
自分と同じように幼かったオルガ・イツカの発したその言葉が、彼の心を揺さぶった。
短い生涯の中で何ら「悔いる」という事に縁のない三日月ではあったが、未だ見ぬ「本当の居場所」にたどり着けなかったとしたら、と思うとおそらくそれは死後の悔いとなるだろうという事をぼんやりと悟った。
三日月・オーガスが初めて識る我執であった。

阿頼耶識システムの活性はピークに差し掛かり、かつてないほど自分とガンダムフレームが同調している感覚があった。
自分が呼びかければ、少しのタイムラグも寸分の動作の狂いもなくバルバトスは呼応した。

ほどなく三日月は今しがた自らが屠った敵機の残骸が、地球の重力に引きずられている自分の死角にあったことを認識したのである。

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タフなつくり、の回でしたね。
まあ、そういう「タフさ」が持ち味なんですが。
大気圏突入回で、アインさんが亡くなったのも象徴的でもある。あ、まだ死んではいないか。
んー、生かしたって事は鉄華団に「一矢報いる」役にもっていくのか?
そりゃ、マクギリスも仮面つけなきゃいかんわけだわ。