まあ、これは外れるわな。。と思いつつも、見事に外れた方がむしろ愉しみが成就する気もするので書いとくことにしよう、そうしよう。

※※※

激しい最終決戦が終わった後、火星の畦道を歩くのは三日月とアトラである。
彼らが向かう先には、ビスケットと桜そしてクッキーとクラッカ姉妹が待つ農場があった。

ついこの間までの激動が嘘のように感じられるのどかさが、多くの仲間を失った悲しみをアトラに忘れさせた。
「タカキ、嬉しそうだったね。妹さんと会えて。」
オルガ亡き後、ますます無口になった三日月にどのように声をかけてよいかわからなかったアトラが発した言葉に彼は「そう、だな。」とだけ答えた。

ふと、彼は立ち止まり傍らのアトラをじっと見つめた。
「え?なに?」
アトラは戸惑いながら小首をかしげる。
「眠い、昼寝してから行こう。」

※※※

結局、オルガあっての鉄華団であった。
彼らは最初の仕事を完全にやり遂げたが、それは同時に最後の仕事にもなったのである。
三日月とアトラが、そして生き残った鉄華団のメンバー全員が火星に還る事ができ、その後の人生に自由を保障されたのもクーデリアの発言によるところが大きい。彼女はもうか弱い令嬢ではなく、一人の革命家としての人生を歩み始めている。

※※※

「アトラ、いろいろごめんな。」
小高い川べりの芝生に寝転びながら、不意に三日月が言った。
「俺、多分アトラの事、色々傷つけたりしてたんじゃないかなあって今思った。」
「….」
「そういうの、わかんないからさ、俺。」
「大丈夫だよ、三日月。」
アトラは微笑んで応える。
「三日月がわからない分、私はずっとわかっていたから。」
「….」
「きっといつか、ここに還ってくるんだってことも。鉄華団に入れてもらった時からずっと、分かってた。」
「そっか。」
三日月は目を閉じた。
「アトラは強かったんだな。」

※※※

三日月の心を阿頼耶識システムが飲み込もうとしていた。
オルガの気配がすぐ近くに感じられる。
それに彼は抗うことなく、ただ迫りくる波に漂う事を選んだ。
その時である。
三日月はその声をはっきりと聞いたのだ。
「ミカ!さよならだ!」
まぎれもないオルガ・イツカの声であった。
それは、「こっちに来るな」と怒鳴ったような声であり、それを聞いた途端三日月はそれがオルガの最後のオーダーであることを覚ったのである。

※※※
三日月は目を開き、起き上がる。
「アトラ、行こう」

Fin

いやあ、三日月君殺せねえ。。。。