ラディーチェさんって見てて思い出すのが、自分の場合はカムラン・ブルーム。いわゆる「巻き込まれた普通の人」。
タカキの様にはじめっから鉄華団にいたわけじゃないから、自分の中の常識感覚で地球支部のあれこれを切り盛りしようとすれば。。まあ、そりゃ心折れますわな。

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本来、「秩序」というものは知性のある人間がそうでない人間を統率して初めて生まれるものだと私は信じているし、その信念に従った結果がたとえ他人から見れば「裏切り」に当たるものであったとしても私には自分を恥じる理由がない。

そんなことはまともな教育をうけたことのある者なら、いちいち言わなくともわかるはずだ。
そして、それをわかろうとしないのが私が今いる「鉄華団」なる場所にいる子供たちだった。

地球支部において、彼らをまとめていたチャド・チャダーンという男はまだまともな方か、と思っていたが彼がヒューマン・デブリであったという事実は私の知性を凍らせた。この世界ではヒューマン・デブリとは商取引の対象である「モノ」に当たるのだから。

はじめの内、私は「やってられない!」と憤慨していたが、次々に起こる程度の低いイザコザを見るうちにやがて「あきれてしまった」のだ。もう私の感情を動かす出来事は地球では起こらないだろう、と思っていた。

ギャラルホルンの一つの支流からの交渉人が私に接触してきたのはそんな折の事だった。
私は自分の心情を誰にもさとられないように注意してきたつもりだったが、どこからか私の心の奥にあるわだかまりを嗅ぎつけてきたらしい。まったく油断も隙もあったもんじゃない。

しかし、私は持ち込まれた話に乗ることにしたのだ。
私からの条件である
○金銭的な報酬
○私の身の安全
○その後の身の振り方
を、これ以上ないほど保障するという約束のもとに、である。

一体全体、誰が私を非難できるというのだろう?
ビジネスとしての判断は何一つ間違ってはいない。
そして、火星と地球は遠く、私の前には今はどうとでもできる子供しかいないというのに。

そう、私の判断は「正しい」のだ。私の信じる「秩序」に照らし合わせても。

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嵐の予感っすねえ。