いやあ、気合の入った回、でしたね。やっぱカルタちゃんって魅力のあるキャラだったなあって再確認しました。

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卑怯で野蛮で愚劣な眼前の白いモビルスーツが、私の機体に何度目かの衝撃を与えた時コックピットの内部が裂け目を生じ、それが内臓に突き刺さり背骨を貫通した。
その瞬間「ああ、私はここで死ぬのか。」と直感したが、私の激情はまだ止まなかった。

「私に屈辱は似合わない」
そう、私のこれまでの生涯はただ「屈辱から逃れる」ためだけのものだった。


「イシュー家の誇りを守るため」。
それが私の生きる意味であることを疑った事は微塵もない。
そのためには実のところ、私は何だってやってきたのだ。
かつて私の部隊が、敵の幻影に取り込まれ恐怖でパニックを起こしかけた時、私はそれを鎮静化するために自分の肉体を部下に与えた事もあった。
それについて、わたしには何のためらいもなかった。
私の部隊、という事はそれはつまり「イシュー家の部隊」って事なのだから。


「私が男だったら」
唯一、私にそう思わせたのがマクギリスだった。
彼の秀でた能力に正直に言えば私は嫉妬していた。
ああ、今なら正直に言える。
私は彼が羨ましかったんだ。
そして、決してその心の奥底を見せようとしないあの人に魅かれていたんだ。
だから、ずっと私に憧れていた、と彼が言った時
私は本当は嬉しかったんだ。

「たすけて..マクギリス。」


「私は..無様だった..わ.ね。」
もうあまり声も聞こえなかったが、私は私を救出した機体に聞いた。
「そんな事はない。お前は立派に戦ったよ、カルタ。」


ああ、あなただったのね。味噌っかすのガエリオ。
マクギリスは私を呼ぶとき「君は」って言うのよ。
「お前は」なんていうのは、ギャラルホルンの中ではあなただけ。
子供の頃から嘘が下手だったものね。

でも、最後に助けてくれたのがあなただったのは、ずっと自分を虚栄に押し込めてきた私には丁度良いのかもしれないわね。
だから最後までだまされてあげるわ。

「あり..が.とう。マク..ギ.リ..」

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ま、異端でしょうがこの見方も成立はする。っていうか、この見方の方が自分としては右脳にクルものがあるんだよね、サブタイトル(「最後の嘘」)的にも。

あとメリビットさんの苦悩をきっちり描いてたのは、目立たないけどポイント高いっす。