少年は成長期に猥雑なものに触れないと、死の世界に魅了されやがて破綻を余儀なくされる。
エロスとタナトス。
また随分と古風で骨太で普遍的なテーマをぶっこんできたものだ。今時(褒め言葉)。

考えてみれば。。
ファーストガンダムのアムロ・レイがフラウ・ボゥに投げる台詞、
「いいよ。洗濯なら自分でするから。」というのは、
夢精を暗喩している事はよく知られた話でもあったのだ。
エロスとタナトスというテーマを持ち出す事ができるフォーマットとして「ガンダム」は案外この上なく最適であったのか。

考えてみれば。。
その身体に阿頼耶識システムを3つ飼う三日月君は、他の登場人物よりも遥かに「死の世界」に近い。
自らその役割を果たす事に積極的ですらあり、感情の奔流渦巻くイサリビ艦内において、微動だにしないように「見える」。
しかしフミタンが言う様に「彼らはまだ子供」であって、自分の心が一体どのようなものであるかなど把握しようもなく制御もできない。
オルフェンズ世界に三日月君の精神をつなぎとめておく事のできる唯一の可能性を持つのが、姫様という訳か。
(むむむ。してみれば後半「駆け落ちしますけん」な可能性も無きにしもあらず。)

いや、ホント今回は良くできてる。
マサヒロの死亡でシンミリ→子供相手に発砲せざるを得ない状況でやりきれない怒り→「こいつは死んでもいい奴だし」(爽やか)で爆笑。
↑オープニングまででこれだけ揃ってます。

あと葬式を推すのが名瀬アニキっていうのが心憎い。
「かつてあった『お葬式』なるもの」っていう状況でザブングルのカタカム・ズシムを思い出す人もいたのでは?
そして葬式終わった後にいちゃつき出して伊丹十三監督的展開の口火を切るのもアニキの仕事。
ある意味今回の屋台骨となっているMVP待ったなしな立ち位置。

突拍子もないように見える今回でありながら、厳密な整合性を背景に持つとっても濃い今回にご満悦ですわ。